記事一覧

新年のご挨拶

 謹んで新春のお慶びを申し上げます。
 昨年中は多くの皆様方のご厚誼を賜り、流儀として実りある活動を行うことが出来ましたこと、あらためて御礼申し上げます。
 本年が皆様にとって健康で実り多き一年となりますことをお祈り致します。

 さて、皆様はこのお正月をいかがお過ごしでしょうか。
 お正月といえば様々な特別番組がありますが、時代劇も恒例となっております。
 昨日の元日、漫画「風雲児たち」を原作としたドラマが放送されました。
 脚本は三谷幸喜さんでテーマは蘭学事始。
 これはかの「解体新書」の回想録です。
 御存知の通り解体新書はドイツの解剖学書『ターヘル・アナトミア』のオランダ語版を翻訳したものです。
 杉田玄白は「蘭学事始」に次のように書いているそうです。

 「櫂や舵の無い船で大海に乗り出したよう」

 Google先生の居ない時代、鎖国の時代であり、辞書もなく、日本語の話せるオランダ人も周囲に居ない。
 そんな中で暗闇を手探りで歩くような、暗号を解くような翻訳は想像を絶する大変さだったようです。

 それと比較するのはどうかと思いますが、私が乗り込んだ天心流という船は大きなものでしたが、その性能も隠され、そしてやはり櫂や舵もない、さらに帆もエンジンもなく、乗組員もほとんど居ない状態での乗船でした。

 解体新書の編纂者、訳者の一人、前野良沢は育ての親である宮田全沢から、次のように訓育を受けたといいます。

 「世の中には捨ててしまうと絶えてしまうものがある。流行りものはどうでもいいから、廃れてしまいそうなものを習い覚えて、後の世に残すよう心がけよ」

 人類の文化というものを見た時に、ある意味でのリサイクルを上手く果たす社会こそ、文化として醸成度が高く、豊かな文化であると思います。
 ルネサンスが文化復興運動であったことからもそれは見て取れます。

 しかし後の世に残すにしても、それが人づてでしか伝承できない、無形の文化遺産である場合、これは非常に難しいものとなります。

 つまり単に廃れてしまいそうなものを習い覚えても、それを次代に受け継いでくれる守り人がいなければ、結局のところは僅かに生きながらえるだけの仮初の延命措置を施したにすぎません。

 知る人ぞ知るではダメなのです。
 よく次のような言葉を耳にします。

 「素晴らしいものは放っておいても認めてもらえる。」

 それは一面としては事実かもしれませんが、良いものが必ず認められるとは限りません。
 ゴッホが生前に認められなかったというのは有名な話です。
 画業十年というのは、画家としてあまりに短く、その間に名声を得られないのは仕方のないことだという見方がありますが、いずれにせよ現在では100億円以上の価値がある絵を世に送り出しても、それが世界に創出された時、それはそれだけの価値を持っていないのです。

 世間でどれだけの企業が、商品が、広告宣伝に努めて、ブランド力を高めていることか。
 そうした物の中には、確かに粗悪な物も含まれるでしょう。
 しかし多くは、必死の努力と工夫で生み出したもの、成し遂げたことを多くの人に知ってもらい、買ってもらい、利用してもらい、見てもらおうという更なる必死の苦労としてマーケティングが行われているのです。


 だからこそ私たちもこの平成30年に、天心流という日本の誇るべき伝統文化を「よりよい状態で後世に伝える」ための更なる一歩を力強く踏み出します。

 いかに力強く踏み出そうとも、私たちの歩みはそう早いものではありません。
 また時に黒風白雨に晒され膝をつくこともあるかもしれません。
 しかしこれまでのように、多くの皆様のご助力、ご声援をいただきながら、着実に歩みを進めていきたいと願っております。

 本年も何卒ご支援・ご協力のほど、伏してお願い申し上げます。

   天心流兵法 第十世師家 鍬海政雲

コメント

コメントの投稿

非公開コメント

information

このブログは、時沢弥兵衛師を流祖とし、四百年近くの歴史を有する古武術・古武道『天心流兵法』の公式ブログです。
公式サイトは下記になります。
http://tenshinryu.x0.com

また第十世師家 鍬海政雲のブログは下記となります。
http://tenshinryuhyoho.blog.fc2.com/

Twitterアカウントは下記になります。是非フォローをお願い致します。

また入門、体験、見学は下記メールアドレスかメールフォームにて受け付けております。
メールアドレス:tenshinryu@me.com
※返信メールが迷惑フォルダに振り分けられる等の原因により届かない事が御座います。二日以内に返信が無い場合は、お手数ですがその旨御連絡お願い致します。


検索フォーム