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フィールドワークのご報告

 天心流は史料に乏しく、常に可能な範囲で調査を行って参りましたが、井手代範が狩野名誉会長のお力添えをいただき、いくつか発見がありましたのでここにご報告致します。

 ご報告の前に、まず何より当流としての立場を明確にしなければなりません。
 天心流は中村天心師家が先代の石井清造師家より受け継いだ教えを継承するものです。

 それは新発見のデータとは無関係です。
今後、如何なる新情報が見つかっても、それは変わりません。
 流儀の周辺情報としてそれらも含めて保存はしますが、伝承に追加するものではありません。

 我々の砦は石井先生より天心先生が授かり、天心先生より我々が授かったものが全てです。
 如何なる発見があろうと、これは基本的に変わるものではありません。

・新発見史料二点について
 前述のとおり井手代範と狩野名誉会長が、史料調査に奔走して下さった結果として、二点の史料の存在が明らかとなりました。

 一点は、大阪大学に収蔵されている「天心流直鑓」です。

http://ci.nii.ac.jp/ncid/BB20825191

 そしてもう一点は、名古屋大学に存在する「従諸向服忌聞合答之留写」です。

http://ci.nii.ac.jp/ncid/BB02198894

 図書館での調査の結果、これは2011年11月に「Webcat」の後継サービスとして新設された「CiNii Books」のデータベースで発見されました。

 両著とも、国富忠左衛門師の名ではありますが別人物です。
 国富家では少なくとも江戸初期より幕末まで、この忠左衛門の名を名乗っていた家系が存在していたということです。
 それは通称として、屋号のようなものとしてと考えられますが、非常に面白いことです。

 今回、この大阪大学の史料の写しを、門人の協力のお陰で無事に入手することが出来ました。
 文献に関しての公開をとの声をいただきましたが、再複写、頒布などが禁止されているため、文献の開示は申し訳ありませんが出来ません。

 直接、所蔵機関にお問い合わせ下さいませ。

 まだ翻刻作業は出来ておりませんが、内容などにつきましては、悪用を防止出来る範囲内で公開する予定です。

・天心流直鑓について

 こちらは天心流の直槍についての伝書です。
 三巻一冊の著で、100ページほどの書物で、書かれたのは1668年です。
 まだ入手して間もなく、詳細には読み込んでおりませんが、ざっと目を通した限りは技法についてではなく、心法について、また武士としての心得などが書かれているようです。



              國富忠左衛門
于時寛文八戌申暦           重次
     正月吉日

        後 不休入道ト云

同苗忠左衛門
    重羽(花押)


 残念ながら、当伝系の正統性を示すような記載は特に見られませんでした。
 この伝書から分かるのは、少なくとも天心流の第二世である国富忠左衛門師から永く、国富家では「忠左衛門」という名を受け継いだことです。

 当流に伝わる伝承では、そもそも三日月藩に伝わる以前から、津山藩に天心流が伝承したとされています。
 三日月藩や福本藩に伝わったのは、立藩以降になりますが、いずれにせよ以前も記したとおり、当伝系の天心流はあくまでも江戸にて伝承されてきたものであり、関西伝とは伝系を異にしております。
 この不休師がどのような身分で、どの藩にお仕えしていたのかなど、伝書には手がかりとなるものは現状では見つかっておりません。

 ともかくとして伝系が異なる以上、国富家が一切分家などをしていない限りは、そこに連なる名前も異なるのは当然でしょう。

・伝系について
http://tenshinryuhyoho.blog.fc2.com/blog-entry-461.html

 これは武術歴史文化に限らず、あらゆる歴史文化研究、いえ、そもそもあらゆる研究分野に関して同様のことが言えますが、願望や悪意、憶測に基づいた結論ありきの検証は決して成果を生みません。

 演繹法(仮説の検証)にせよ、帰納法(データ蓄積)にせよ、それは十分なデータ(史料、資料)に基づいて、慎重に慎重を期して行われるべきものです。

 しかし、そうした原則を無視し、不十分な情報を元にして当流の伝承を否定するだけにとどまらず、繰り返し誹謗中傷を行う動きあります。
 また当流に対し、ネット上で執拗に誹謗中傷を行う武術家もいらっしゃいます。
 もし何かの確たる証拠が発見された際は謝罪すると語っているとのことですが、経年に渡り誹謗中傷を繰り返しており、そうした行為による被害は少なくありません。

 証拠が見つかった際に、謝罪で済まされると本気で考えていらっしゃるのでしょうか?

 我々は薄氷を踏む思いで灯火を伝えようとしております。
 一門の努力と応援して下さる多くの方々のご支援のお陰で、門人数も知名度も十年前とは比較にならないまでの状態になりました。
 ご助力頂いた皆様方には心より感謝しております。

 ですが、これをもって安泰というわけではありません。
 可能な限り良い状態で、継続可能な文化としてこれを後世に伝えていく。
 そのために我々は死に物狂いで日々伝承と普及に励んでおります。

 誹謗中傷、風評被害で潰れる店や倒産する会社が存在するように、繰り返される嫌がらせの悪影響は無視できないものがあります。
 そして、そうした悪意に対しての門人のストレスも過大なものがあります。

 自らの信念を持つのは悪いことではありませんが、それがいたずらに多くの人を傷つけ、見境なく罵詈雑言を浴びせるようなものでしかないのであれば、そのようなものはただの反社会活動にほかなりません。

 何より悲しいのは、本来危険な武技を修める上で、等しく心も修めるべき武術家が、そうした心ない誹謗中傷活動を積極的に行っているということです。
 「気に入らないものは、推論に基づいてでも誹謗中傷を行い、積極的に文化破壊を行う」
 このような態度を何かしらの文化継承者を自負しながら行うというのは、とうてい理解出来ません。
 結局、こうした方々の目的は、歴史保存や調査などではなく、当流への個人的感情による悪意ある攻撃でしかないことは明白です。

・他調査等について

 他には、先代の残された文章と天心先生の記憶を元にして、狩野名誉会長の力添えをいただいて地道なフィールドワークを進めております。
 最近では、第六世 石井恒右衛門師の存在まで辿ることが出来ました。

 歴史上の人物ではなく、今、生活されている血縁者の方々に関係する話であり、万が一にも前述のような悪意ある方々によってご迷惑がかかるようなことがあってはいけませんので、現状では伏せさせていただきます。

 出来れば朗報をお知らせ出来ればと思いますが、長い年月を経てしまっているため、容易なことではありません。

 お伝えできることは随時広報させて頂きますので、今後共そうした歴史面の調査の進展、ならびに当流の伝承・普及活動のほど、お見守りいただけましたら幸いに存じます。

  天心流兵法 第十世師家 鍬海政雲

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